本日解禁された及川光博『FUNK A LA MODE』の全曲試聴を聞き終えて、まず思い付いた感想が「バタくさい」であった。
この一言では収まりきらない、奥歯に挟まり渦巻いている悶々とした感情を整理したい。
及川光博/FUNK A LA MODE 視聴サイト
www.jvcmusic.co.jp
目次
- 1.名刺代わりはソレじゃない
- 2.「意外性」の迷走
- 3.ジローラモかよ
- 4.FUNKを掲げるなら
- 5.あなたは生徒会長
1.名刺代わりはソレじゃない
まずMVも公開されたアルバムリード曲『紅のマスカレード』。
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ブラスとパーカッションとホイッスルの音も鳴り響くラテン風ビートに乗りながら、あえてゆったりと漂うような歌声で魅せる大人の魅力。。。に浸る前にみんな思い浮かんじゃうだろ。
「これ、セクシー・ユーやん!!」
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ニュアンスを狙うだけに留まらず、40秒ほどしか無い視聴音源でここまで想起させちゃうメロディーはいかんでしょ。
「セクシー・ユー/くれない」の言葉の重なり方とか、確信犯なんだろうけど、最近のミッチーのプロデュースの大きな墓穴はこの「確信犯」という感覚であると思う。
「あ、歌謡曲アプローチね。はいはい。それもいいよねー」とか全ベイベー・男子が肯定すると思ってんのかよ!
じゃあなんで、プリンス・ロジャー・ネルソンが没した翌年にわざわざ「FUNK」なんて冠したアルバムつくってんだよ!
あなたにとってのFUNKってそんなものなのかよ!
あと、『セクシー・ユー』の現代的昇華手法は純烈の方がキャラクターも魅せ方も圧倒的に正しいから!!
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2.「意外性」の迷走
ミッチーの非凡であり他のアーティストに無い点は、「求める自分と求められる自分」を見事に着地させてきた手腕な訳で、意外な楽曲・活動の方針も今では歴史の一部となってほぼ昇華している。
手を変え品を変え、で20年を超えても楽しませてくれることは本当に有り難いのだけれど、ここ数年のアプローチはミッチー自身も昇華できていない面があるのではないだろうか。
そうだよ、「DANSHIN DANCIN'」のEDM路線だよ。本人もファンも「そんな時代もあったよねと」なんて思いを馳せてひっそりしまいこんでいるんじゃないか。
逆張りの意外性がミッチーの異端性を際立たせてきたことも事実で、『僕のセリー』や『流星』『銀河伝説』のようなロック押しの方法論を得たことも功績だけど、そろそろ無理な意外性を続けなくてもいいんじゃないか。
ミッチーの多面性を愛しながら、意外性だけを求めているんじゃない。
男心EDMも今回の『紅のマスカレード』も、意外性のセルフプロデュースという志向が足枷になってるように映る。
長年の経験で得てきた流儀を高めてよ、もっと。
何度も言うけどさ、このタイミング(2017年)で「FUNK」と冠したアルバムなんだろ!得意技ブチかましてクラクラさせてくれよ!
3.ジローラモかよ
楽曲よりもっと話題になりそうなのが「初回限定盤B」のジャケ写だ。
金髪!?!?メッシュだと!?!?
髪型に大きな変化の無い人だから、この金髪メッシュも「意外性」なんだろうけどさ、40代後半の男性がこういうスタイルに進んじゃうと、妙に色気付いた成金ギラつき親父臭くなる。
LEON親父化、ジローラモ化ですよ。こんなの。
ちゃいますやん!!
エレガントでファンキー。
エレガントで艶っぽい。
エレガントで知的。
エレガントで情熱的。
この幅広な魅力が際立つから、エレガントな髪型なんでしょ!
金髪メッシュが許されるのは30歳までの、ルックスもキャラクターもストリート感を持ってる人じゃないと、一気に地方のヤンキー系譜になっちゃうんだよ。
(俺認定)日本一金髪メッシュが許される男前、ことSKY-HI日高光啓(みつひろ!)も30歳を向かえて黒髪モードに変化したってのに。。。
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4.FUNKを掲げるなら
なんで、せめて『愛し愛されまSHOW☆』をリード曲にしないのか。
ブラス隊を引き連れて、ギラギラスーツで、紫のどエロい照明で、女性ダンサーとエロエロ絡んで「忘れられない夜にしましょう」とキメる。
これこそ、極めてきた流儀、伝家の宝刀でしょう。
胸を張って名刺にしてくれよ。こういうミッチーを信じてきたんだよ。
意外性を持たせつつ現代的なFUNKモードでアプローチするなら『アクアリウム』一択で、SuchmosやWONKやcero好き世代に聴かせてどんな反応するのか知りたいんだけど、それってやっぱり流儀ど真ん中じゃないからな。
やっぱりさ、ラテンじゃない。シティのファンクじゃない。アンダー・ザ・ミラーボールですよ。
5.あなたは生徒会長
ラテン歌謡も金髪メッシュも堂に入ったスタイルじゃなくて、「なんちゃって」でやってみました、と見えちゃうんだよ。
出来杉君が40代になってLEON読んでサルサ習い出す、みたいな中年デビュー感。
『sure danse』をカバーしてくれたのはすげえ嬉しいんだけど、「あえて」もスパイスにした石井竜也のような肝の座った北関東のベテランホストみたいなチャラつき方は、どうやっても出来ないんだから。
ヤンキーにもホストにもできない、生徒会長(実は変態)だからこそ出来るFUNKを魅せてよ。