久々にしこたまに酔った。
帰りのタクシーでリバースして、運転手さんに「にーちゃん困るわー」とどやされた事が微かに記憶にある程度。その記憶すら正しいかも曖昧な酩酊。
ショートパンツを履いていたから少し肌寒いかと思ったけど、帰り道でも汗ばむほど、ほんのり夏めいていた事を覚えている。
それすらも、夢のような記憶だったかもしれない春。
■2nd Album『桜の木の下』
- アーティスト: aiko,島田昌典
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2000/03/01
- メディア: CD
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発売日: 2000/3/1
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1 愛の病
2 花火
3 桜の時
4 お薬
5 二人の形
6 桃色
7 悪口
8 傷跡
9 Power of Love
10 カブトムシ
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波のような作品だ。
恋の喜怒哀楽に一人相撲する「あたし」視点が、上へ下へ乱高下していつまでも落ち着かない。
そうか、aikoは落ち着くような恋愛心情など、一時も無いのか。
上がっている時は下がる時を心配し、下がってもまた上がる事を願う。
調子が良い時ほど先行きを悲観し、悪い時ほど次の上昇を不確かにも信じる、相反する状況と気持ちを常に歪にバランスさせることが、最も恋というアトラクションを楽しめるのだ、とaikoの歌世界では感じさせてくれる。
「悪口」のような意固地なネガティヴも、「二人の形」に揺蕩う健気さのエロスも、陽気一辺倒ではない湿った恋の一面だ。
香りある女になるから だから
あなたに落書いた嘘の言葉が肌色によく光る
嫌い、綺麗、嫌い
(傷跡)
と押し寄せるパンチラインワードを聴いて、あぁやっぱり(今のところ)aiko楽曲で最も刺さるのは『傷跡』なんだと再認識した。
もがいても傷跡を残す側でありたい、という思いを肯定してくれるから。
そんな思いも、ラスト2曲でひっくり返される。
二人の愛は永遠よ(Power of love)
生涯忘れることはないでしょう(カブトムシ)
「二人の愛は永遠」と前置きされた後の「生涯忘れることはない」という言葉を今聞いて、自分は急転直下でどん底に突き落とされた。
甘やかさを信じられる瞬間の永遠は、過去の恋に閉じ込められているからだ。
結局、傷跡を自分にも残している。
ジクジクと未だに傷を眺めてる。